普通の大学生が大学編入目指してみた

「院試落ち」したときマニュアル

タイトル通り大学院の入試に落ちた時にどうすればいいかをつらつらと書いていきます.基本的に電気通信大学の学域生が読むことを想定した記事ですが,他大学の人も参考になると思います.

院試受験に必要な具体的な入試対策(過去問の傾向など)は割愛し,院試に落ちた後の大まかな流れのみを書いています.

【注意】計画留年や冬院試に関する記述は,執筆した当時の事情です.年度や専攻によって変わる可能性があるのでご注意ください.

 

院死に至るまで

まずは院試落ちに至るまでの経緯を書いていこうと思います.

私はⅡ類先端ロボティクスプログラムに所属していて,知能機械システム学専攻(M専攻)の入試を受けました.選択した専門科目は機械力学と材料力学でTOEICは710点のスコアで提出しました.電通大TOEICのスコアを100点満点に圧縮し,730点以上を満点とする換算方式です.よって換算後のスコアは97/100でした.

電通大の院試の筆記試験はTOEIC100点,専門科目400点の計500点で評価されます.「TOEICで600点前後取れてれば,足を引っ張ることはない」と言われているらしいので,受験生の中では私はかなり高得点の部類に入ります.面接も100点分配点されていますが,内部生はよほど舐めた返答をしない限りは点差がつかないと思います.

まさかの不合格

試験当日,材力でやらかしてしまったものの,TOEICパワーでギリギリ受かってるだろ!!と思っていたところ落ちました.当たり前ですが,TOEICの点が高くても落ちる時は落ちます.

しばらく絶望していましたが,緊急事態なので両親と指導教員に急いで相談しました.何度か協議を経た結果私は他大学の冬院試を受けることにしました.

 

院試落ちしたあとの対処法

さてここから本題に入ります.院試落ちした場合の進路選択はざっくりと2つに分けて「学部卒として就職」,「院進学を目指す」です.

学部卒として就職

院試に落ちて就職する場合,現役のまま就職と就浪して就職の二つの選択肢があります.前者の場合院試落ちが判明してからすぐに就活を始める必要があります.

現役で就職

私は当初現役で就職を検討していたため,M専攻の就職事務室に相談しにいきました.就職事務の方曰く「この時期(8月下旬・9月上旬)でも優良企業の求人は残っている」「学校推薦を使うのが最速」だそうです.推薦企業の一覧を見ましたが,大手企業も残っていました.しかし,トヨタだったり,NTTドコモのような電通大生が目指すことの多い超大手企業は流石に残っていませんでした.

 

10月の内定式まで1か月も時間がないため,現役就職を目指すなら大急ぎで就活をする必要があります.私はその時点では就活についてなにも知識がなかったのと,あまりにも急に就職先を決めることに不安を感じたため,現役就職はしないことにしました.

 

就浪して就職

わざと留年(計画留年)して来年度内定をゲットするという選択肢もあります.つまり,院試落ち時点でB3の9月と同じ身分という状況になります.現役就職よりかは時間に余裕があることや,冬インターンにエントリーできるという意味では就職先の幅が広がります.しかし当然ながら卒業が1年延びるデメリットもあります.

計画留年の注意点は後述します.

 

院進学を目指す

院進を目指す場合も就職と同じく,「現役で院進」「留年して院進(院浪)」の2つが選択肢としてあります.

現役で院進

私は就職ではなく,院浪覚悟で冬院試を受けて現役で院進を目指しました.冬院試にも落ちたら計画留年して院浪するつもりで臨みました.冬院試は東京都立大と筑波大に出願しました.

 

大学院入試のほとんどは夏に行われますが,一部の大学では夏以降に院試を実施していて,秋院試・冬院試と呼ばれています.首都圏近辺でいうと東京都立大,埼玉大,東大,筑波大,茨城大が冬院試を実施しています.また名古屋大や東北大などの旧帝大京都工芸繊維大学なども冬院試を実施しています.また北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)のように5月,7月,1月と複数日程に渡って院試を実施する大学院もあります.

 

これらの大学の院試実施日程はまちまちなので必ず募集要項を熟読しましょう.一番注意が必要なのは,全ての専攻・学科で冬院試が実施されるわけではないということです.

 

例えば東京都立大のシステムデザイン研究科の航空宇宙システム工学域とインダストリアルアート学域では,一般選抜の冬季入試を行わないことがあると注記されています.

download.html (tmu.ac.jp)(都立大の募集要項参照)

 

また東北大や埼玉大のように一部の専攻・研究科でのみ冬院試を実施する大学もあります.冬院試を実施するか否かは10月や11月に発表することが多いため,院試に落ちた9月の段階では出願できるかどうかもわからないことがあります.

 

冬院試を受ける場合のスケジュール感

院試に落ち,冬院試を目指す際にまずすべきことは情報収集です.冬院試を実施している大学の中から自分の興味に沿った研究室を探し,その研究室の先生にアポをとりましょう.

 

アポを取る時期なのですが,なるべく9月中が良いと思います.というのも,夏休みが終わり授業が再開するとどこの大学の先生も忙しくなってしまうためです.長期休暇中は比較的時間に余裕のあることが多いため,9月中にアポを取ることが望ましいと思います.

 

しかし,アポがとれたからといって必ずしも受験できるわけではありません.夏の院試で研究室の定員が充足されると,冬院試では学生を受け入れないことがあるからです.むしろ断られることの方が多いので,候補とする研究室は複数考えておいた方が良いです.

 

9月中にアポをとり,遅くとも10月半ばまでには実際に志望先の教授と会って,研究室見学をしましょう.見学する際にはほぼ確実に卒研の内容を聞かれるので,ある程度は話せるくらいには研究の進捗を作りましょう.

 

10月から出願までにやるべきことはTOEICの受験と,研究計画書の作成です.夏院試より高いTOEICのスコアを出したいなら早めにTOEICの申し込みが必要です.

そして一番大変なのが研究計画書の作成です.出願時に提出を求められるのと,試験当日の面接やプレゼンで必要となるため,ある程度内容を固める必要があります.他大学院進する場合ほぼ確実に研究テーマが卒研と変わるため,志望先の研究室の先生と相談しつつテーマを決め研究計画書を添削してもらわなければなりません.この作業はとても時間がかかりますし,入試の面接やプレゼンの出来に直結するため絶対に妥協できない作業です.

 

研究計画書と作成と同時並行で筆記試験の対策を行う必要があります.個人的には,10月11月に筆記対策をほぼ終わらせるくらいの覚悟で勉強に取り組むことをおすすめします.12月から1月にかけては卒論執筆にほぼすべての時間を費やすことになるため,勉強することは難しいです.

 

11月以降は卒論と院試対策を両立しましょう.言葉で言うのは簡単ですが,これはかなりきついです.正直言ってあまりにもしんどかったため,冬院試受験は安易にはおすすめできません.

 

私は秋の時点で卒論の進捗がほぼ無に等しかったため,ほとんどの時間を研究に充て,12月に入るまでほぼ筆記対策ができませんでした.12月以降は流石に筆記対策に時間を割きましたが,卒論と院試対策の板挟みになり,精神的にかなり追い詰められてしまいました.結果として筆記の比重が重い都立大は出願したにも関わらず受験を辞退しました.その代わりプレゼンの配点が大きい筑波大の対策に注力しました.筑波大の院試の手ごたえは壊滅的でしたが,奇跡的に合格していました.

 

 

院浪する場合

冬院試を受けずに院浪する場合は特に急いでやることはありません.普通に卒研に励むのみです.しかし院浪をするにあたって計画留年を行うか,卒業して研究生として研究室に在籍するかを選ぶ必要があります.

 

計画留年は卒論を提出して卒論発表を行うものの,卒研ないしは輪講の単位をわざと付与させずに留年する方法です.就浪や院試落ちは毎年いるので意外と融通が利くらしいです.ちなみにこれを行うには指導教員との相談が必要です.何も言わないと卒業させられてしまいます.

 

研究生は卒業したあとに,学域生でも院生でもない「研究生」という身分で研究室に在籍します.電通大の場合研究生は学生の半分の学費で済むため,経済的にお得です.

研究生はぱっと見良さそうな制度ですが,学生ではないため就職支援室からの支援を受けることができません.つまり院浪して再び院試に落ちた場合,新卒カードを持たない状態で就職支援室からの支援を受けられないまま就活をするという超絶ハードモードになってしまいます.

私は研究生として院浪を考えましたが,上記の理由で冬院試に落ちた際は計画留年することにしました.

 

研究生は履歴書にブランクができる(研究生として書くことができる場合もあるらしい)のと,学費が安く済む以外にメリットが無く,院浪を失敗したときに背負うリスクが大きすぎるためおすすめしません.

 

電通大には修士課程の冬院試が無いため,電通大の院に進むことを選ぶなら院浪が確定します.しかし研究室に1年長く在籍できるため,修士0年生として研究に打ち込めるのはある種のメリットかもしれません.

計画留年の注意点

見事冬院試に受かれば晴れて卒業し進学できますが,冬院試に落ちれば,進学先がゼロの状態なので院浪が確定します.ここで注意が必要なのが,留年するか卒業するかを決定する期日です.これは院浪覚悟で冬院試を受ける人のみに生じる問題です.

 

卒論発表を終え,学内の審査を経て成績が確定すると卒業が確定します.この成績の確定日までに冬院試の合否が明らかにならないと卒業させられてしまうため,合格発表の期日は重要です.「受かったら卒業,落ちたら留年」をする場合は合格発表の期日に十分注意しましょう.また成績確定日を必ず指導教員に確認しましょう.(私は合格発表の7時間後に成績確定締め切りだったのでかなりギリギリでした.)

合否の結果が出たら直ちに指導教員に連絡し,卒業するか否かを伝えなくてはなりません.

 

合格発表の期日が3月の大学もあります.よって,発表が遅い大学を受ける場合は計画留年はできず,合否に関わらず卒業することとなります.この場合は研究生ルートしか選択肢はありません.

研究生ルートを選ぶなら合格発表の期日に神経質になる必要はありません.合否に関わらず卒論を出してそのまま卒業です.

 

「院死」しないために

院試落ちした際の対処法をつらつらと書きましたが,言うまでもなく院試に受かることが最良です.今更ですが「こうすればよかったかも」と思ったことを書きます.

過去問を過信しない

院試は過去問を周回すれば受かるとよく言いますし,実際多くの人はそれだけで受かるようですが,傾向を変えられると死ぬので過去問過信はやめましょう.私はそれで爆死しました.

滑り止め校を受ける

高校受験,大学受験では必ず本命校の他に滑り止めとなる学校を受けます.ところが院試はほとんどの人が自分の大学の院しか受けないため,落ちるといきなり人生計画が狂います.というわけで心配な人は電通大以外を受けるのも一つの安全策だと思います.

とはいえ滑り止め校の対策に時間を取られて電通の院試に落ちると本末転倒なのでそこは気を付けましょう.

それと当然ながら,学部入試とは違い研究テーマで院を選ぶべきなので,受かればどこでもいいやみたいな心持ちで受けるのはやめましょう.

 

推薦を狙えるくらいの成績をとる(B1,B2向け)

院試に絶対落ちない方法があります.それは一般ではなく推薦で院試を受けることです.試験当日に寝坊しなければ受かるらしいので,電通の院に行くと既に決めている人は死ぬ気で成績を上げましょう.

一般入試で受かるにしても,院試対策に時間を取られて研究がストップするのはもったいないので,卒研をスムーズに進めるという意味でも推薦入試は有利です.

 

質問,ご意見があればTwitterの@mcmc0111までDMをお願いします.